もし熊と戦わねば...。       November 18, 2006

 昨今、日本では熊が住宅街に出没したニュースが頻繁に流れていますが、僕自身も野生の熊に出くわした経験が一回だけあり、しかも神経がピリピリしているといわれる子連れの熊でした。 
  いまから12年ほど前、ニューハンプシャー州(ボストンがあるマサチューセッツ州の上に位置し、カナダとの国境を有している)でトレーニングキャンプを張っていた時の話ですが、トレーニングの合間の休みにドライブがてら山道を運転していたある日、10mほど先を3頭の子熊を連れた母熊?(多分)がゆっくりと横切りました。僕等は初めて見る野生の熊に興奮し、車に乗っていたためか不思議と恐怖感はなく車内からじぃーっと観察していました。 先ず、親熊を先頭に子熊が連なって1m程の高台から降りて来たのですが、最後列の子熊は降りるのが恐いのか躊躇し母親に助けを求めるような泣き声を発していました。しかし、母熊は一度振り返っただけで我関せずの状態、兄熊?(多分)にいたっては振り返りもしませんでした。 さあ、残された子熊はためらっている暇などありません。親熊たちはどんどん先に向かって進んでいきます。とうとう意を決したのか?転がり落ちるように降りました。このたった 2, 3分のシーンがマンガの1コマを見ているように感じながら僕が初めてのスキーでおだてられそのスキー場のチャンピオンコースにチャレンジしてしまい決死の思いで転げ落ちるしかなかった自分を見ているかのようでした。そういえばこの熊たち、僕等には気付いていたはずなのに終始まったくの無視状態でした。よほどお腹が満たされていたのか、僕等のことを取るに足らない存在だとしか感じなかったかは未だ定かでは在りませんが...。
  ただ、人間社会と比べて野性の世界は厳しいということを実感しました。特に今の日本社会では『甘え』が横行し、それがひいては色々な犯罪の温床となっているような気がしてなりません。もっと分かりやすく言うと自分には甘く他の人に厳しい輩が多いような? そう思うと、武道を通し『己を律する』ことを学ぶ意義があると確信します。先日、三浦道場埼玉支部と交流試合を行い、出場者の殆どが試合初体験でしたが、試合後は出場者ひとりひとりが何かを感じ取り、新たな思いを胸に秘めたと思います。そして、これからの人生の様々な場面で、その経験を活かしてもらいたいと願うのは僕だけだろうか...?  話戻って地元の人に聞くと、この町WolfboroNYCに住むお金持ち達の別荘地で夏場は人口がぐっーと増えるようですが冬場は熊の頭数が人口を上回るそうです。そのせいか、この町は消費税がないにも拘わらず公共施設も立派だったような?多分property tax(固定資産税)が非常に高いんだろうなぁ〜? でも、この町に別荘を持って夏場1, 2ヶ月過ごす生活が出来たら最高だろうな?という憧れを抱きながら朝のランニング、サンドバックに突き、蹴りを叩き込んで厳しいトレーニングに耐えていました。 そして、夜は広い庭がある一軒家を改造したレストランでのアルバイトです。ここは、極真会館ニューヨーク支部長五来師範の義父が所有するレストランで連日連夜大盛況でした。オーナーのチャーリーさん、夏場の売り上げだけで一年分の生活費を稼ぎ、冬場はスペインにある別荘でゆっくり過ごすと聞いたような?僕にとっては夢のような生活です。

  さてさて、鏡の前に立ち、その姿を見ながら10年、20年後の自分はどうなっているだろうと問いかけ、先日届いた中学の同窓会案内を読みながら25年ぶりの級友達との再会を楽しみにする僕です。 

「幼き日を懐かしみ、今を大切に、老いを泰然と感ずる」 何か詩人になった気分です。 押忍

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