血尿が出た〜!さあ大変!March 6, 2008

先日、駅に置いてあった無料配布雑誌R25に『尿は健康のバロメーター』とのarticleがあり、その記事を読みながら以前試合に向け激しい練習をしていた頃、血尿が2ヶ月程続いた経験があって思わず微笑しました。 その記事には血尿が出た時は直ぐに病院に行き検査するべしと書いてありました。あの時は痛みが続くなどの前触れも無く、稽古を終えて用を足すとあの白い便器が真っ赤に染まりました。それからというもの言い表しがたい恐怖心が芽生え、夜は眠れずベッドに入っても『既に末期ガンで、あと何ヶ月の命じゃないか?』とか『もうしばらくすると寝たきり生活になるんじゃないか?』とかネガティブな事ばかりが頭に浮かんでは消えて行きました。あとから考えれば『そんなに悩まなくても早く検査に行って原因を見つければいいじゃん!』と簡単に思えますが、その時はそんな気持ちには到底なれない上に医療保険も無く、アメリカで検査費用全額を自己負担出来るお金も手元にありませんでした。 しかし、血尿が1、2週間続くとトイレに行く際は恐怖心で一杯になり、このままでは『いずれ体中の血が無くなってしまうのでは?』とさえ思い始め、どうにか検査費用を工面しDoctor's officeに向かいました。 検査結果はDoctor曰く『打撃でどこかの毛細血管が傷ついて、その血が出てるんでしょう』『ガンのようなシリアスな病気ではない』との事。ついでに『しばらくは絶対安静にし、空手の練習なんかもってのほか』と付け加えられました。 原因がはっきりすれば、これまでのもやもやも吹っ飛び気が楽になって医者の忠告はそっちのけで一段と稽古に力を入れました。そして、大会も終わり組手をしばらく控えていると血尿は自然に止まり一件落着になりました。 その後、試合前になれば血尿が出ることも何回かありましたが、一度原因が分かってしまえば『またか!』と感じる程度で、それほど気にも留めなくまりました。

 ついでに思い出話をもう一つ。 1997年秋、地元シカゴで開催される試合に出場を決め、稽古に励んでいた時も試合1ヶ月程前から血尿が出始めました。 この試合、少々変則なルールで最初の3ラウンド顔面無しのフルコンタクト空手ルール、次の3ラウンドが10オンスのグローブを着けてのキックボクシングルール、最後の3ラウンドが軍手に毛が生えたような薄いグローブを着けて顔面あり、寝技ありのルール構成でした。中高生の頃とはいえ柔道、ボクシングの経験もあり、何より優勝賞金が魅力で出場を決めました。 結果は、決勝戦の8ラウンド目、残り10秒程のところで相手の見事なヒザ蹴りをアゴにもらいノックアウトされ意識不明のままリング上で担架に乗せられ、救急車で病院に担ぎ込まれました。 気がついたのはemergency room のベッドの上で、傍らには親友の井上君夫妻が付き添ってくれていました。 その夜、その病院はその大会からのけが人で大盛況だったようで医者の手が回らず僕は何時間も放置されたままでした。 (この大会、決勝が夜中近くに行われるように組まれており、病院も当直の医者しかいなかったようです) ようやく僕のところに来たDoctorは血だらけの道着を見て「Oh, my god !」と言い放った後、一緒に来たアシスタントに次々と指示を出し始めました。 先ずは目の上を切っていたので9針程縫い、続いて頭部のMRI 検査、そして最後に尿検査をする事になりました。それを聞いて直ぐに『やばい!』と思った僕は近くにいた井上くんに「代わりに入れてきてよ〜」 「そなん急に言われても、今出ませんわ〜」「ほんだら麻美ちゃん(井上くんの奥さん)のは?」「いや!それはばれるんちゃいますか?」「ほんだらしゃないな!」と、こんな会話を堂々と日本語の分からない医者の前で交わしながら赤ワインを注いだように真っ赤に染まった小便を差し出しました。 それを見た途端、医者の表情がガラッと変わり、問答無用で腎臓、泌尿器専門のDoctor からの許可が下りるまで入院となりました。 僕としては原因が分かってるし、それより後日受け取ることになる病院からの請求書の額の方が心配でたまりませんでした。 退院から半年程経って次々と請求書が届き始めました。 日本のように入院した病院だけでなく、それぞれの医者の事務所、検査機関、救急車の配車先の会社から受け取る羽目になり、合計が日本円に換算して当時で100万円近くになっていました。 準優勝で貰った賞金は500ドルのみ(因みに優勝賞金は1万ドルを超えていた記憶が?)で大赤字です。 そんな大金、まず払えませんが、払わずに放っておくとコレクターが介入してきて、後々法的に厄介な事になりかねず、四方八方手を尽くし何とか支払いの目処をつけました。

 こう考えると、僕がお世話になっている日本の国民健康保険制度、たまらなく有難く思えます。 この時は、救急車にしても試合会場からたかが100m程離れた病院までが600ドル(65,00068,000) その中での酸素吸入200ドル(25,00028,000)。 こっちが意識ない思てぼったくり放題や!

 最後に、負けた上に入院と散々な目に遭って落ち込んで寝ている僕の病室に 『元気出せ!』と茶目っ気たっぷりにペントハウスとプレイボーイマガジンを差し入れてくれたマーク夫妻、今はハワイで元気にしているかな?今度尋ねて行くで〜! 押忍 

inserted by FC2 system