What does OSU mean?/『押忍』って?

 アメリカで道場生にこんな質問をされて返事に窮した経験があります。日本で僕自身、そんなこと考えもしなかったし多分思ったとしても先輩や先生に尋ねたり出来なかったと思います。返事は大体予測できます。「そんなことも分からんのか!押忍は押忍だ!つまらん事を聞くな!」てな具合だろうと・・・説明社会の米国では通用しません。こんな返答では「あそこの先生は馬鹿だ!」と言われ、道場は閑古鳥が鳴き始めるでしょう。このように質問に対し明確な説明が出来なければ軽蔑される風潮は良い面もありますが、知らないのに知ったかぶりをして余計に惑わせてくれる輩を創るという悪い面も…。 私の経験から、道を尋ねたりすると本当は知らないのに「I don't know it」とは言わず適当に教えたり「I'm not sure it but I guess ...」(確かではないけど、多分...。)といった具合に適当な返事で惑わせてくれることが多々ありました。

  話を本題に戻しますが、空手の世界とは無縁の知人がこう言っていました。「あれって『おはようございます!』を短縮したものでしょ?」って??? 確かに、以前ドリフターズのいかりや長介が連発していた「ウォース」はそうかもしれないけれど??? 我々のはそれと違うんだ!と言ってみても、じゃーどういう意味?と攻め込まれると口ごもってしまう僕でした。だいたい日本語でも相手を納得させるだけの説明が浮かばないのに英語では到底無理。 やはり、今では海外で一国一城を築いた師範達もこういった苦労をしながらの前進だったと思います。そして USA大山空手の教本には解りやすく押忍についての説明が載っていました。 

 「押忍とは『Patience』(我慢)『Respect』(尊敬)『Appreciation』(感謝)を表現したもの」と。また、それぞれの意味合いも掘り下げて説明されています。僕は常々これらの気持ちで『押忍』と十字を斬るように心掛けています。しかし、いくら詳しい説明を読んだり聞いたりしても、そこに体験が伴わなければ本当に実感できるものではないと僕は思っています。 「誰々の蹴りはとても強い!」と云われても実際に自分自身で受けてみるまでその強さが実感できないのと同じように...。 

  最後に「押忍」にまつわるもう一つの思い出を書きます。僕が極真会館総本部で故大山倍達総裁の内弟子をしていた頃、若獅子寮生一年目は会館のロビー番という仕事がありました。そこに立っていると先輩、師範達が出たり入ったりする度に声を張り上げて「押忍」と挨拶しなければいけませんでした。声が小さいと後で先輩からのきつ〜い説教があるため自然と大声になります。当然3階にあった総裁室まで声が届きます。ある日の朝礼で総裁より「君たち、オス、オス、オスとうるさいよ! 君達は商売人じゃないんだから『押忍』の安売りをしてはいけないよ! 漢だったら『押忍』と頭を下げるのは一回でいい!」と厳しく叱咤されました。 ただ、こわ〜い先輩達からの許しがあるまでは『押忍』を連発していましたが...。   押忍!

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