国と国の戦いに思う September 08, 2010

すでに8月は過ぎ去りましたが残暑厳しい毎日です。さて、我が国にとって原爆を落とされた日、終戦を迎えた日と戦争にまつわる出来事が多い8月はTV プログラムもそれに関するものが多く放送されました。しかし、日本に住んでいる我々の世代は「戦争」といわれても、どこか遠い国での出来事のようにしか感じない人達がほとんどだと思います。 僕はアメリカに住んだことで少しは身近に感じる経験ができました。

 まず、シカゴに住んで1,2年過ぎた頃、湾岸戦争が勃発。いまでもその時の事をリアルに思い出せます。その日の朝、「先生ギャリーがウィスコンシン州から夜のクラスにやって来る」という連絡があり、その話を聞いてから何となく気分が乗らない時間を過ごしていました。というのも先生が来る度と内弟子としては一日の中で一番ホッとする最後のクラスが終わってからの時間を使って延々と逮捕術の練習に付き合わされるからです。彼は、どこかの警察署長を務めながら全米の警察官に逮捕術を教えて周るような仕事もしており、いかに自分の身を守りながら相手を戦闘不能にするか?というような練習を得意中の得意としていました。因みに、弟はFBIの捜査官ですが道場では兄貴に散々しごかれていました。 そのギャリー先生が夕方道場に着くなり「ついさっきイラクで空爆が始まった」と落胆した様子で教えてくれました。あの夜は町全体がしーんと静まりかえったように感じ、次の日から黄色いリボン(兵士の無事な帰還を願う)を町のあちこちで目にするようになりました。そして開戦から時間が経つにつれ、道場生の中にも自身や家族がイラクに派遣される人が出始め「もう帰って来れないかも?」といった不安の中で別れのあいさつに来てくれた生徒が何人かいました。ただ、僕の当時の英語力ではSee you again soon ! と言って見送るのが精一杯でした。 その後、多国籍軍が勝利しアメリカ中が沸きに湧き、町のあちこちで帰還兵のパレードが行われたのは言うまでもありません。

  アメリカに住むと、この国を中心に世界は動いているんだなぁと実感します。世界情勢には必ずアメリカが一枚噛み、ホワイトハウスの住人の言動がその情勢を左右させているように思います。また、シカゴに住んで同年代の韓国人、台湾人と仲良くなるにつれ本国には徴兵制があり、それを逃れる為に留学をしたりする若者も少なくない事を知りました。 僕は日本に生まれ、そんな心配もなく20代、30代を過ごせたことに改めて感謝せずにはいられません。もっと以前に生まれていれば、日本でも戦争に駆り出され、命を落としたり耐えがたい苦しみを味わっていたかと思うと、そういう体験をせずに生きられる今日を築いてくれた多くの先輩達に合掌。 そして、これからの世代にも、そのような体験をしない世界を築いて欲しいと思う。  押忍
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