目的 or 手段 February 12, 2011

 久々にコラム更新の時間がとれたので最近あるサッカー選手のインタヴューを掲載した記事を読みながら頭に浮かんだ事を書こうと思います。 その選手は日本代表に選ばれ活躍していますが小、中学校とサッカーと並行して近くの道場で空手も習っていたという話。聞き手の「空手を習っていた事がサッカーで大成するのに何か役立ったと思いますか?」との質問に対し、動きだけでなく精神面でも大いに役立ったと答えていました。 

  そこでふっと思い出した事。 シカゴにある三浦師範の道場で師範代をしていた頃、アイスホッケーの選手やアメリカンフットボールの選手、或いはHollywood俳優までもが入門しクラスを取っていました。彼らは自分が活躍するそれぞれのフィールドでの才能をより高める為に空手の動きや考えを参考にしているとの事でした。 目的がハッキリとしているためか?その集中力は凄まじいものでした。 アイスホッケーの選手は移動稽古、特に前屈立ち・騎馬立ちの動きを来る日も来る日も熱心に繰り返していました。 彼は中学生だったけど、将来はNHL(プロ)の選手を目指しているとの話でお父さんが非常に熱心でした。 

また、Hollywood俳優は名をMichael Roocker といい日本で知られているトム クルーズ、アル パチーノ, ケヴィン コスナー、シルベスター スタローンあたりが主演の映画には必ず助演男優のポジションで出演していました。面白いことに彼が俳優であると知ったのは三浦師範とアル・パチーノ主演の「Sea of love」という映画を見に行き、彼がスクリーンに写し出された時でした。師範が先ず『おい!マイクに似てる奴がでてるなぁ?』程度でしたが、何回も出てくるので『おい!あれマイクじゃないのか?』に変わり、続いて『あれマイクだよ!間違いないよ!アイツこんな事やってたのか?』とのお言葉。僕は隣で唖然としながら『オ〜ス!?』と返すしかできません。 道場に来る時はいつも小汚い恰好で自ら『Actor』などとは決して言いません。 世界中の俳優が目指すHollywood映画であそこまでの地位を築いている男には到底見えませんでした。 彼曰く「空手の稽古が表現力の幅を広げてくれるし、精神力を磨くにも非常に役立って一石二鳥なんだ!」と、シカゴ滞在中は暇を見つけてはクラスに参加していました。

  言いたい事をそろそろまとめますが、武道というのは本来『めしの種』にするような目的としてではなく、その修練によって己の人生を豊かにしていくような手段として志すものだと僕は思っています。 そう偉そうに言いながらも、ちゃっかり『めしの種』にしている私。そうです!『にんげんだもの!』  押忍

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