睡魔と戦った日 September 07, 2012

 先月旅した娘とのドライブは10日間で約2000kmに及びました。無論、娘に運転の交代を頼めるはずもなく私一人が気合を入れて運転しなければならず、そんな事情もあって長距離は炎天下で渋滞に巻き込まれるのを避け、もっぱら深夜の移動にしました。 知っての通り、深夜の高速道路を走っているのはほとんどが大型トラックでいつもと違う緊張を強いられ、その上いつもと違うスケジュールでの運転は非常に疲れます。そして、いつも以上に襲ってくるのが『睡魔』という魔物であり、これに一回でも取り憑かれるとそう簡単には離れてくれません。そこで思い出すのが三浦師範の運転する車の助手席でこの魔物と格闘した日々です。

  その一つが内弟子として1年が過ぎた頃、シカゴ道場から2時間ほど高速道路を走らせたところにあるRockfordという町の支部道場の昇級・昇段審査会に師範のお供として行かせていただいた時の事です。出発前、師範から『そこの支部長は俺より年上で爺さんだけど、お前は内弟子なんだから絶対になめられるなよ! 組手になったらそこの生徒全員のばせよ!』と いとも簡単に且つ大胆なハッパをかけていただいたためか? 行きは睡魔に襲われる事はありませんでしたが、帰路は道場に着いたら後はゆっくりと自由時間を過ごすだけという安心感とぽかぽか陽気も手伝ってか?助手席に座った直後から睡魔が次から次へと襲ってきました。ただ、三浦師範の直ぐ右隣に座っている手前『あくび』も堂々と出来る状況ではありませんでした。そんなこんなで時間がしばらく過ぎた頃、どこかで『ヒデ!ヒデ!』という声が耳に入ってきます。ハッとして『オッス!』と返事を返しますが時すでに遅し、師範より『おまえ!黙想でもしてたのか?』と問われ『お〜す!静かに瞼を閉じて組手の反省をしておりました。オス!』と神妙な顔で返答しました。『それにしては鼻息も荒かったなぁ〜!ウソつけ!居眠りしてたんだろ〜?』 『オスッ!失礼しました!』 『お前!俺なんか大山館長のお供の時、居眠りなんかしたことないぞ!ところで、俺の得意技知ってる?右のヒジ打ちと鉄ツイだからな!』と笑いながら忠告を受けます。その場は『押忍!』と元気に返事を返すもののどんどんと襲ってくる睡魔に四六時中叩きのめされそうになります。特に途中で師範の好物であったGyros(ギリシャ風のサンドウイッチ)を腹一杯にいただいた後の道のりは目を開いておくのに『地獄の苦しみ』を味わいました。

  そうです『戦い』とは?決して目の前にいる人物あるいは目に見えて形ある物だけが相手とは限りません。むしろ、目に見えないものとの戦いの方が苦しくつらい上に、ましてや自分との闘いになると一生涯逃げることが出来ないのかも?とするならば勝ち続けるしかありません。自分自身の何処かに住みつくeasiness, laziness, そして怠け心に対して・・・。  押忍!

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