映画『カラテ・キッド』にまつわる思い出  October 04, 2012

 先日、四国の友人がFBを通して懐かしい映画『ベスト・キッド』を話題にしていたのが目に留まり、20代の頃の内弟子生活が頭の中に蘇ってきたので書きたいと思います。

  僕が住んでいたシカゴの冬はとても厳しく-10℃〜-20℃の日々が続く上に『ウインディーシティ』と呼ばれるだけあって猛烈な風がミシガン湖から吹き荒れ、体感温度にすると-30℃〜-40℃の世界です。こうなると着ぐるみでも着てないと外には30秒と出ていられません。 内弟子時代、車もなく稽古が休みの日も道場にひとりで籠っているしかチョイスがありませんでした。そんな時、寂しさやそれと同時に生まれる『日本に帰りたい』という気持ちを紛らわせてくれたのがOffice内の本棚にところ狭しと積み重ねられていた『寅さんシリーズ』『仁義なき戦いシリーズ』『網走番外地』等々のどれをとっても三浦師範が好きそうな題材のVHSテープでした。なぜか?その中に『カラテ・キッド(米国での題名)』もあり、それを僕は3年間の内弟子期間中に、のべ十数回は観たように思います。映画のstoryは、いつものお決まりパターンですが日本語訳されていないテープだったので大いに英語の勉強に役立ちました。今思うと、三浦師範も遠く離れた故国を思い浮かべながら、それらの映画を観ておられたのでしょうか・・・?ただ、任侠ものが殆どではありましたが・・・。 

 僕は特に『寅さんシリーズ』なんかを観ると日本の正月を思い浮かべ、今すぐにでも日本に帰りたいという衝動に駆られました。それほど僕の心に深く入り込んだ映画でしたが、日本に住んでいた頃には見向きもしませんでした。『カラテ・キッド』にしても一回は観るかも知れませんが、そう何回も観ようとは思わなかった映画でしょう。 

  自分が置かれた環境によって、それまで考えもしなかった事を考えるようになり、思いもしなかった事を思いながら行動した自分に気づき、つい微笑してしまいます。あのシカゴでの、ニューヨークでの、いやもっと大きな意味で米国という異国での内弟子として過ごした時間があったからこそ今を、これからを、より深く掘り下げて考えながら歩んで行けるのだろう?と実感しています。

  余談になりますが、何か『Martial artsもののハリウッド映画』がヒットした時には、道場の入門者が増えていたのを思い出します。無論、現実を体験した数ヶ月後、数週間後、いや数日後には顔を見せなくなった輩もたくさんいましたが・・・。 そういえば、アラバマの大山泰彦最高師範が千葉真一氏と組んで『内弟子』を題材にラヴストリ−調のハリウッド映画を製作中で撮影も順調に進み、配給先も決まっているような話を耳にします。公開された暁には『内弟子』という存在がもっともっとスポットライトを浴びることを願わずにはいられません。  押忍

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